個人として独立して不用品回収業を行うためには、個人事業主として開業する手続きを行うのはもちろん、業界特有の許認可を取得することが必要なケースもあります。
・不用品回収に興味があり、開業の方法を知りたい
・本当に儲かるのか気になる
・成功のポイントについて知りたい
今回は上記のような方向けに、開業の方法や成功のポイントをわかりやすく解説します。
不用品回収とは?
不用品回収とは「一般の家庭などでいらなくなり、かつ再利用できる品物を回収すること」を指します。
不用品回収業を営む事業者は、回収後、品物をリサイクル・リユースに出すことで収益を得ます。壊れた家具や小型家電を直すことで再び使えるようにして、リサイクルショップで販売することもあります。
完全に壊れてしまった家電に関しては、金属のパーツのみ取り出して販売・リサイクルすることが可能です。また、日本でのリサイクル・リユース以外にも、中古自転車などを海外にまとめて輸出する方法もあります。
なお、一般家庭から出るゴミ・壊れた家具などは、不用品ではなく「廃棄物」に当たります。廃棄物は自治体から許可を受けた者のみ回収することができますが、現在、新規で許可を受けられることはほとんどありません。廃棄物を回収することによる利益を得るのは、極めて難しいと考えていいでしょう。
不用品回収業が関連する許認可3個
不用品回収と関連する許認可を3つ紹介します。
■1.古物商許可
古物商許可とは、不用品の買取・販売をするために必要な許可です。不用品を顧客などから買い取ったり、リユース・リサイクル品として販売したりする場合に適用されるため、不用品回収業を行う際は必須と言えます。
申請は事業を行う営業所がある地域を管轄する警察署で行います。手続きの際は、申請書や身分証明書などが必要です。
申請してから許可が交付されるまで、1ヶ月以上かかることがあります。申請する場合は余裕を持って準備をするといいでしょう。
■2.一般廃棄物収集運搬許可
一般廃棄物収集運搬許可は、一般家庭で出たゴミを回収する際に必要な許可です。
しかし前述した通り、一般廃棄物収集運搬業を新規では許可しないという市町村がほとんどです。一般の家庭から出る廃棄物を回収する事業者は、どの市町村でもすでに足りているのでしょう。
ちなみに、同じ一般家庭でも不用品であれば前項の「古物商許可」を取得し、リユースなどを目的に回収することができます。廃棄を目的に処分費用などをもらって回収すると、無許可で廃棄物を回収していることになるので、注意が必要です。
なお、市町村が新規で一般廃棄物収集運搬業者を募集している場合に限り、申請が可能です。その際は、申請書や事業計画書などが必須となります。
■3.産業廃棄物収集運搬業許可
一般廃棄物収集運搬許可が「一般家庭のゴミを回収するための許可」であるのに対し、産業廃棄物収集運搬業許可は「法人からゴミを回収するための許可」です。工事現場や事業所など、法人で出たゴミ・不用品を廃棄物として回収し、運搬します。
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには「公益社団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)」で事前に講習会を受けることが必要です。その後、各都道府県に申請することになります。
講習会修了証の写しや、事業計画書・確定申告書の写しなど、申請には多くの書類が必要になります。また、講習会・都道府県への申請ともに費用がかかるため、あらかじめ準備しておくようにしましょう。
不用品回収業の開業届
個人事業主として不用品を回収する際は、税務署に開業届を提出する必要があります。
また、確定申告には簡易的な処理が認められている「白色申告」と、節税効果の高い「青色申告」の2種類があります。青色申告での確定申告を行う場合は「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。
開業届も「所得税の青色申告承認申請書」も、どちらも税務署に提出します。開業時にまとめて提出するといいでしょう。
不用品回収業の開業資金
不用品回収業を始める際に用意しておきたいものとその費用は、以下の通りです。
・トラック:20万円〜200万円
・店舗・倉庫:30万円
・ホームページ制作:20万円
・広告費:10万円
トラックは、軽トラックから2トントラックまでを想定しています。今後の事業の規模から積載量を決め、中古で購入するといいでしょう。
店舗・倉庫となる物件は、回収してきた不用品を一時的に保管するため、広さに余裕があることが理想的です。物件の場所や広さによっても異なりますが、1ヶ月の家賃が30万円程度の物件を用意すると安心です。開業時には物件を契約する際の初期費用として、敷金や数ヶ月分の家賃なども見積もっておきます。
ホームページ制作や広告のためにかかる費用も開業資金に含まれます。特にホームページは、集客や事業の信頼性といった観点から、ある程度しっかりとしたものを作る必要があります。
不用品回収業の独立開業の成功方法7個
最後に、開業したての不用品回収業者が成功するためのポイントを7つ紹介します。
■1.ホームページやSNSで集客する
「業者や店舗を探す際は、まずはネットで検索する」という人が多くいます。不用品回収も同様に、ネットで検索して良さそうと思ったものを利用するという人は多いでしょう。
そのため、不用品回収の開業時にはホームページを開くことをおすすめします。ホームページ制作や運用にそこまでのリソースを割きたくない場合や、事業規模が小さい場合は、Twitterやブログなどを活用してもいいでしょう。
■2.マッチングサービスやポータルサイトで集客する
ネット上で集客する方法として、既存のプラットフォームを利用する方法もあります。
マッチングサービスとは、サービスを提供する人としてほしい人のマッチングサービスを指します。「くらしのマーケット」などのサイトがこれに当たります。
また、不用品回収や片付けを行う事業者の情報を登録しておけるポータルサイトや、一括して見積もりを行える比較サイトも存在します。開業時には、これらのサービスに登録しておくことをおすすめします。
■3.チラシを投函する
チラシは簡単に作成でき、コストも低いことから、開業したての事業者に適した方法です。事業を行いたい地域で自ら配り歩くことはもちろん、ポスティング業者に依頼したり、新聞の折込チラシとして配布してもらったりすることもできます。
■4.シーズンに応じた需要を狙う
不用品回収の集客は、12月や3月といった節目の時期が狙い目です。大掃除や引越しで出た不用品を狙って集客を行います。
具体的には、それらの時期の前にポスティングなどのアプローチを行うといいでしょう。一度の宣伝で終わらせず、事業の存在を覚えてもらうことを目的に、シーズンごとに複数回宣伝を行うことも有効です。
■5.効率的に業務を回す
不用品回収で安定した売上を確保するためには、1日の中で効率的に現場を回り、多くの不用品を回収することが大切です。
そのためには、効率的な回収ルートを考えて1日のスケジュールを組んだり、住宅の多い場所をメインに活動したりといった方法が考えられます。
また、倉庫や店舗の場所も重要です。コスト削減のために家賃の安い郊外に物件を借りるのもいいですが、市街地との行き来を考えると、非効率になってしまうかもしれません。
■6.法律に則って営業する
不用品回収は、古物商許可などの許認可を取得して営業することが必須です。中には無認可で営業している業者も存在しますが、犯罪に該当します。
近年では無認可での不用品回収に関するトラブルが多発し「この業者は大丈夫かな?」「怪しくないだろうか?」と懸念する人も多くいます。
不用品回収を行う際は、許認可を得ることはもちろん、関連する法律のチェックや理解も怠らないようにしましょう。適切に運営されているという安心感が、問い合わせの増加やリピーターの確保につながります。
■7.丁寧に情報提供して安心感を与える
安心感をアピールする方法として、料金体系やサービス内容などの仕組みを丁寧に伝えることも有効です。
不用品回収をあまり利用しない人や「怪しい業者じゃないかな?」と警戒する人にも納得してサービスを利用してもらえるよう、チラシやホームページでわかりやすく説明しましょう。
また、不用品回収の当日にも、実際の作業に入る前の説明を欠かさないようにします。
まとめ
不用品回収で開業するための方法について解説してきました。
不用品回収は、許認可の取得や良心的な料金体型などから、クリーンに事業を運営していくことが欠かせません。開業前の準備を入念に行い、信頼のおける事業者を目指していきましょう。