高齢化や孤独死の問題が深刻になるにつれて、注目度が増している仕事に「特殊清掃員」の仕事があります。
ニーズや将来性がありそうな反面「きつそう」「適性がある人でないと難しそう」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では以下のような方に向けて、特殊清掃員に向いている人の特徴を解説します。
・特殊清掃員の仕事に興味がある
・自分が特殊清掃員に向いているかどうか知りたい
・特殊清掃員の給与や仕事内容が知りたい
「給与はどのくらい?」「女性でもなれる?」といった疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
特殊清掃員とは?
特殊清掃員とは、孤独死や事故死などのあった特殊な現場の清掃を行う人を指します。
人が亡くなった際は激しい汚れ・臭いが発生し、通常の清掃で対応することが困難です。そのため特殊清掃員は、専門の知識や機材を活用し、部屋をできるだけ元通りにする役割があります。
また、長年放置されてきたゴミや、遺体に集まってきた害虫の処理を担当することもあります。
特殊清掃はハードな仕事である反面、高齢化や独居世帯の増加により、需要や認知度が高まっている仕事とも言えます。
特殊清掃の仕事内容
一般的な特殊清掃員の業務は、下記の通りです。
・汚れ、匂いの除去
・害虫駆除
・遺品整理
・不用品処分
室内で人が亡くなった場合、体液や血液などで部屋が汚染されています。自らがウイルスに感染しないように留意しながら、床や壁の清掃を行うこととなります。
同時に、特殊な脱臭機や薬剤を活用して部屋の悪臭を除去することも必要です。 長い時間遺体が放置されていた現場では、匂いが部屋全体に染み付いているため、作業に時間がかかることもあります。
また、必要に応じて害虫の駆除や部屋の片付けを担当することもあります。特に虫がわきやすい夏場は、ハエやウジ虫など大量の害虫の駆除が必要となることでしょう。
部屋に残っていたものに関しては、価値のある貴重品や思い出の品などを探して遺族に引き渡したり、明らかなゴミは処理したりするなどの作業を行います。
まだ使えそうな家具や家電は運搬してリサイクルに出すなど、不用品回収業のような動きが求められることもあります。
特殊清掃員に向いている人の特徴7個
ハードなイメージのある特殊清掃員の仕事ですが、どのような人が向いているのでしょうか。特殊清掃員の仕事に向いている人の特徴7つを紹介します。
■1.体力面に自信がある人
特殊清掃員は清掃や害虫の駆除などの仕事を行うため、体力面に自信がある人が適しています。
使用する機材を持ち込んだり、廃棄する家具を持ち出したりと、重いものを運ぶ場面も多いでしょう。エレベーターがない現場があることも想定し、体力や筋力に自信がある人が適してると言えます。
■2.精神的にタフな人
特殊清掃員は人が亡くなった現場に赴くため、日常は目にしない凄惨な光景を見てしまうことがあります。
強烈な悪臭や飛び散った血液、ゴキブリだらけの部屋など、見ると気持ちが荒んでしまうような現場も少なくありません。
特殊清掃員は、このような現場であってもメンタルを維持し、仕事を継続できる精神力が必須と言えるでしょう。
■3.人の尊厳と向き合える人
故人へのお悔やみの気持ちを持って作業にあたることも大切です。
単に清掃をすればいいというわけではなく、人が亡くなった現場に訪れるという気持ちを持つことが求められます。
また、特殊清掃員を行う中で遺族と接する機会も出てくるでしょう。故人を亡くしたばかりの遺族に、お悔やみの気持ちを持って丁寧に寄り添う姿勢が欠かせません。
■4.社会貢献を目指す人
特殊清掃員は人から怖がられたり敬遠されたりすることもありますが、誰かがやらなくてはならない仕事です。
作業を行う上で、遺族や大家さんに「きれいにしてくれてありがとう」と感謝されることもあります。また、高齢化が進行するにつれ、今後社会からますます必要とされる仕事となるでしょう。
特殊清掃員は誰かの役に立ちたいと思っている人にとって適した仕事と言えます。
■5.においに敏感ではない人
特殊清掃員として重宝されるのが、鼻炎やアレルギーなどの事情があり、嗅覚が弱い人です。
人が亡くなった際の匂いは「死臭」と呼ばれ、嗅ぐことで吐き気を催したり、精神的なショックを受けたりする人も少なくありません。
においに敏感ではない人はこの死臭から受ける影響が少なく、特殊清掃員を行う上ではプラスの側面となることでしょう。
■6.ホラーやオカルトに抵抗感がない人
人が亡くなった現場で作業をしていると、心霊体験に遭遇する人もいます。
実際に、ベテランの特殊清掃員は「幽霊のようなものを見たことがある」「不思議な体験をしたことがある」といった人も少なくありません。
特殊清掃業を行うのであれば、このような話に抵抗感がない人が望ましいでしょう。
■7.急な出勤に対応できる人
特殊清掃は依頼が入るタイミングが読みにくく、急な出勤要請がかかることがあります。求人票に週休2日などと書かれていても、その通りに休めないこともあるでしょう。
休日や早朝・深夜などに上司から連絡がかかってきて、出勤することになるということも出てくるかもしれません。
特に都市部では人口が多いため、夜間や休日などに亡くなる人も相対的に多くなります。 急に出勤することとなっても、ストレスを感じにくい人が適していると言えるでしょう。
特殊清掃はきつい?向いていない人は?
特殊清掃員はきつい仕事とも言われ、なんとなくという気持ちで就職するとうまくいかなくなる可能性もあります。
特殊清掃員に向いていない人の特徴は、下記の通りです。
・覚悟のない人
・給与の良さだけに惹かれた人
・副業、バイト感覚の人
・食事を楽しみたい人
特殊清掃業はその名前のイメージから「清掃業の中のひとつ」と軽く捉える人もいます。また、月給や時給がいいという理由で仕事を始める人も多くいます。
しかし、特殊清掃業はハードな仕事であることから、覚悟を持たないまま仕事を始めると早いうちに離職してしまいかねません。
また、グルメで「食べることが何よりも楽しみ」といった人にも特殊清掃員は向いていないでしょう。食べ物から遺体や現場の匂いを連想してしまい、仕事を始める前と同じように食事を楽しめなくなる可能性があります。
特殊清掃の給料は安い?
ここでは例として、特殊清掃の企業に入社した場合のモデル年収を紹介します。
・1年目:300万円程度
・3年目:350万円程度
・5年目:400万円程度
特殊清掃員はハードであることから、他の清掃業と比べ少し高めに設定されていることが一般的です。
離職率が高い仕事であるため、仕事を継続することができれば企業に重宝され、待遇が良くなる可能性があります。 一般のサラリーマンと同程度か、それよりも高い企業をもらうことができるでしょう。
中には、企業で特殊清掃員としての経験を積んだ後に独立開業する人もいます。料金設定などが自分の裁量で行える分、収入をアップさせることも可能です。
特殊清掃員は女性でもなれる?
特殊清掃員は女性でもなることが可能です。現在は、全体の2割ほどの特殊清掃員が女性であると言われています。
近年では、特殊清掃員として活躍している女性がテレビやネットニュースなどで報道されることも増えてきました。
実際に「部屋がみるみる片付いていくので気持ちがいい」「遺族の方に感謝してもらえる」 など、やりがいを持って働いている特殊清掃員の女性も多くいます。
また、女性の遺族から「同性の特殊清掃員がいい」と指名を受けることもあります。これらの点から、特殊清掃員は女性も十分活躍できる仕事と言えるでしょう。
まとめ
特殊清掃員は覚悟の必要な仕事ではありますが、やりがいや将来性といった面でさまざまなメリットがあります。
実際に特殊清掃員の仕事についた人の中には「初めは不安だったが、やってみると思ったよりやりがいがあった」「遺族や大家さんに感謝してもらうことがうれしい」と感じる人も少なくありません。
また、独立開業すれば収入アップやキャリアアップを目指せる点も魅力のひとつです。
特殊清掃員に興味がある方は、今回の記事を参考に就職を検討してみてはいかがでしょうか。