引越し業者の開業と集客方法6個!許可や資格は必要?

引越し業者としての開業は、必要な各種手続きを行うことで認められます。本記事では、必要な申請や許可、集客方法についてわかりやすく解説します。


何かのビジネスで独立開業をしたいと思っている場合、よく選択肢に挙がるのが引越し業です。

引越し業はトラックを準備して必要な申請を行えば、比較的簡単に開業できるとして、開業を目指す多くの人に注目されています。

・引越し業で開業するために必要な手続きは?
・引越し業界の現状は?
・開業後はどのように集客すればいい?

本記事は、上記のような疑問を持つ方に向けて、引越し業での開業全般について解説します。

引越し業界の現状

引越し業界の現状

今、多くの引越し業者が慢性的な人手不足を感じています。特に繁忙期である春頃には、引越ししたくてもできない人を表す「引越し難民」という言葉がニュースで取り上げられるほどです。

引越し業は重労働である上、長時間の拘束や残業など、過酷な仕事であるといったイメージを多くの人から持たれています。働き方改革の影響で、そのような状況を改善しようと取り組む企業も多いものの、人手不足の解消には至っていません。 大手の引越し業者は、繁忙期には依頼を受けきれず断っていることもあります。

そのような業界の状況を利用し、近年は多くの中小企業や個人事業主が引越し業界に参入しています。引越し業は軽トラックなどの車両があれば開業することができるため、比較的参入しやすい業界とも言えるでしょう。

引越し業の特徴と仕事内容

引越し業の特徴と仕事内容

引越し業界は、大学に進学する学生や、就職・転勤を行うビジネスマンにより、3月から4月にかけて大きな繁忙期を迎えます。

その他の期間は閑散期であるため、多くの企業が人手の調整に力を入れています。 繁忙期にはアルバイト募集を、閑散期には余った人手を別事業で活用するといった対策が一般的です。

個人だけではなく、企業などの法人から依頼をもらう時もあります。景気がいい時には大きなビルや都市部のオフィス街への引越しが多く、景気が悪い時には撤退や小さなビルへの移転が多いなど、社会の情勢によって需要が左右されることになります。

引越し業の中には、不用品の処分や買取り、リサイクルショップの運営などを行っている事業者も多く存在します。別事業を並行して営むことで、閑散期に余った人員を活用でき、経営の安定化につながるメリットがあります。

引越し業者の開業手続き

引越し業者の開業手続き

個人事業主として引越し業を行う場合の開業は、以下の流れで手続きを行います。

1.事業計画を立てる
2.車両の購入、許可の取得
3.人材の募集
4.集客
5.開業

開業の際は、税務署に「開業届」と呼ばれる書類を提出します。開業届はその名の通り、事業を始めることを報告するための書類です。

また、個人事業主の確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。青色申告で確定申告を行いたい場合は、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。

青色申告とは、経理上の処理が複雑になる反面、白色申告よりも大きな節税効果が見込めます。引越し業者として本格的に事業を営む場合には、青色申告の方が金銭的なメリットが大きいと言えるでしょう。

引越し業を行う上で必要な資格や許可については、次項で詳しく解説します。

引越し業に必要な許可や資格

引越し業を行うためには、国土交通省への申請が必要です。引越し業では「貨物軽自動車運送事業」もしくは「一般自動車貨物運送事業」の申請を行います。

どちらも地方運輸支局で申請手続きを行いますが、地域によって申請する条件も異なります。申請する際は、事前にホームページなどをチェックするようにしましょう。

貨物軽自動車運送事業と一般自動車貨物運送事業、それぞれの特徴や適しているケースなどについて解説します。

<貨物軽自動車運送事業>
軽トラックや二輪車を利用して荷物を運ぶ事業です。 黒のナンバープレートを付けることから「黒ナンバー」とも呼ばれます。

申請のためには車庫の準備や保険の加入が義務付けられていますが、条件は比較的易しい傾向にあります。個人事業主として小規模の引越し業を営む場合、こちらの許可でも十分でしょう。

<一般自動車貨物運送事業>
普通トラックを利用して荷物を運ぶ事業です。ナンバープレートの色から「緑ナンバー」とも呼ばれています。

引越しや宅配便などを行う企業の多くは、一般自動車貨物運送事業として申請を行っています。 軽トラックを利用した事業よりも条件が厳しいことが特徴です。

引越し業の無許可は違法?

引越し業に必要な許可や資格

引越し業を行うためには、前述した2つの申請のいずれかを行う必要があります。無許可の事業者が金銭をもらって荷物を運ぶことは違法です。

つまり、引越し業者は黒ナンバーと緑ナンバーどちらかの車両で荷物を輸送することが求められます。どちらの申請も行なっていない普通の車(白ナンバー)を事業に使ってはいけません。

しかし、以下の条件を満たせば、白ナンバーの車で荷物を輸送することも認められています。

・陸運支局の許可を受けていること
・許可書を所持していること
・繁忙期であること

繁忙期と閑散期の差が激しい引っ越し業ですが、繁忙期に必要な車の台数を年間を通じて確保することは困難です。

そのため、繁忙期は例外的に白ナンバーを利用できます。レンタカー屋で借りた「わ」ナンバーのトラックの利用も可能です。

引越し業の集客方法6個

引越し業の集客方法6個

開業の際は多くの人に認知してもらい、顧客を集める必要があります。 引越し業者が集客に使える方法6つを紹介します。

1.見積もりサイト

引越しの業者を決める際は、多くの顧客が見積もりサイトで料金を比較します。

相見積もりであるため価格で勝負することになり、値下げを強いられることもあります。しかし、信頼性をアピールしたり、見積もりの内容を丁寧に記載したりすることで、競合よりも高額な価格でも依頼してもらうことが可能です。

知名度や実績が少ない場合も、検索にヒットすれば依頼をもらえる可能性があるため、開業時は登録しておくことをおすすめします。

2.チラシ

チラシの配布もよく使われる手法です。古い集合住宅など、これから引越しをする可能性がある住人が多いと思われる場所のポストにチラシを投函します。

新築の戸建て住宅など、引越しする見込みが少ないと思われる住宅のポスティングは控えることが一般的です。

引越しは1回当たりの売上が数万円以上と比較的高額であるため、契約できれば高い費用対効果を見込めるでしょう。

3.ホームページ

近年は、小規模の引越し業者であってもホームページを持つことが増えてきました。

ホームページには、丁寧な対応やスピード感、競合よりも優れているポイントなどを掲載することが一般的です。

問い合わせフォームのほか、電話やメール・LINEの窓口も設置し、ユーザーが使いやすい問い合わせ方法を選べるようにすることも大切です。

4.SEO対策

SEOとはSearch Engine Optimizationの略であり「検索エンジン最適化」を指します。Googleなどの検索エンジンで検索した際、検索結果の高い位置に表示されることを狙うための対策です。

ホームページを作成した場合、SEO対策もあわせて取り組むことで、アクセスしてくれるユーザーを増やしましょう。「引越し業者+地域名」「引越し業者+強み」などのキーワードが狙い目です。

5.Web広告

ホームページにアクセスしてもらうための情報として、Web広告も使えます。

検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに応じて表示される「リスティング広告」や、各ホームページやアプリなどの広告枠に表示される「ディスプレイ広告」などがあります。

Web広告は年齢や性別、居住エリアなど、ユーザーの情報を元に広告を配信することも可能です。ターゲットとするエリアや顧客属性に応じてアプローチできます。

6.MEO対策(Googleビジネスプロフィール)

MEOはMap Engine Optimizationの略であり「マップ検索エンジン最適化」のことです。Googleマップで検索した際、 上位に表示される事を目指して行う施策を指します。

MEO対策は「Googleビジネスプロフィール」という機能を使い、営業時間や電話番号など、ビジネスの情報を入力することから始めます。無料で使えるため、開業時は登録しておくといいでしょう。

まとめ

引越し業はトラックの用意や必要な申請を行うことで比較的簡単に開業できるため、独立開業をしたいと考える人にはぴったりの事業です。今回の記事をきっかけに、引越し業での開業を目指してみてはいかがでしょうか。

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